常念-餓鬼

大学の試験休みは当時10月初めだった。蝶が岳から入り、常念、燕、餓鬼岳まで縦走した。常念岳の登りは空腹と疲れで苦労した。しかもいくつか偽ピークがあり何度か騙されながら頂上にたどり着いた。
餓鬼岳の小屋は無人で古びてはいたが我々だけで山小屋の雰囲気を楽しんだ。餓鬼岳からの下りはかなりの難路である。面白かったのは斜めの岩壁に針金が一本垂れ下がっており端に掴むための20センチぐらいの木が取り付けられていた。これに掴まってブランコのように斜面を横切るのである。一瞬のスリリングな道である。いまではもう無くなってしまっただろう。
その日はガス模様であったが、ガスの晴れ間に見えた紅葉は素晴らしい美しさであった。チラッと見える効果もあったのだろう。
信濃常盤に下っていく道はやがてリンゴ園の中を通って行く。赤く色づいたリンゴはちょうど収穫の最中で貰って食べたように思う。信州だな~と実感する一瞬である。

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